女子マラソン野口みずき選手金メダルの快挙。

 ただただ感動した。

 後で聞いてみると彼女らは1年も前からアテネの難コースで勝てるレースをするため、中国の高地などで徹底的に肉体改造に取り組んできた成果であるとのこと。
 
 つまり、人事を尽くして天命を待つというレースであったのである。そしてまぐれではなく、勝つべき者が勝った。しかし短距離走とは違い、マラソンで勝つべき者が勝つことはとても難しいことである。

 シドニーで世界記録を樹立して金メダルに輝いた高橋尚子がアテネ代表を見送られたときには誰もが愕然としただろうが、野口みずきの金メダルは日本陸連の判断に誤りがなかったことを見事証明してくれた。しかも他の二人の日本代表も5位、7位に入賞したのだから誰にも文句は言えまい。

 日本女子マラソン界の層の厚さはこれでわかった。高橋尚子といい、野口みずきといい、次期の北京オリンピックの代表者選考に漏れそうだったら、ぜひフィリピン代表として走ってもらいたいものである。

 世界選手権では個人競技においてさえ国を背負って戦うことには少し疑問を感じる。メダリストの表彰式には3枚の国旗が高々と掲げられ、金メダリストにだけ国歌が流れるという風習。これをやめると政治利用が少なくなるというメリットはある。

 とはいえ、イラクのサッカーチームのベスト4進出には国民がしばし敵味方の立場を忘れて歓喜した。私とて日本人が勝ち、日本の国歌が流れるといいえぬ感動を覚える。