最近、私の周りでは大きな変化があった。16年連れ添ったフィリピン人妻と離婚した。連れ添ったというのは言葉だけで「家庭内別居」の状態が5年以上も続いていたので、近年はただ登録上の夫婦だったわけである。

 夫婦生活を正常に戻すために互いに全く努力しなかったわけではない。努力はしたのだがそれだけでは埋められない大きな溝があった。その溝は文化や習慣の違い以上に「価値観の違い」だった。特に「物」に対する考え方の違いはどうしても埋めることはできなかったし、それを受容することはできなかった。自分はそこに幸せを見出すことはできず、結局離婚を選んだ。

 フィリピン人と結婚すると離婚できないと信じている日本人は多い。恥ずかしながら数年前までは私もそう思っていた。

 しかし、さにあらず。フィリピンには離婚の制度は存在しないが、フィリピン人が外国人と婚姻し、その外国に離婚制度が存在すれば、その国で離婚することができ、離婚の事実を証明する書類を提出してフィリピンでも離婚する事ができる。現に多くの日本人がその制度を利用して離婚、または再婚している。

 日比の国際結婚は非常に多い。が、結婚後、5年以内に離婚、または離婚状態になっている確率は9割超ではないかと推察される。表現の違いはあっても原因は「価値観の違い」に帰するのではないだろうか。

※フィリピンに離婚制度はないが、結婚無効を申し立てて離婚することができる。しかしその申立てを認めさせるのは難しく、裁判は10年は掛かるため、離婚したくても離婚できず、別居状態のまま別の愛人と夫婦のように暮らしているカップルがゴマンといて、政治家や芸能人などフィリピンの有力者でもそんな宙ぶらりんの生活を続けている人達の話を耳にするのでフィリピンでいかに結婚無効の手続が難しいかが伺える。