突然君がこの世を去って一ヶ月余が過ぎた。

 君と共に初心者として4ヶ月前に始めたゴルフでは、亡くなる2日前のボニファッショーのショートコースでのプレイが最後になってしまったね。その後、私はゴルフ練習を続け、先週にはネイビーゴルフクラブというフィリピン海軍所属コースの正規メンバーになって、毎朝、夜明けの5時半から4時間をゴルフに費やしている。本来なら君と共に回っているに違いないはずの18ホールを私はキャディと二人で黙々と回っている。

  「57才になって新しいスポーツが始められるなんてこんな幸せなことはありませんよ」

 君はそう言って一度たりとも休まずに練習に来たね。車が修理中で身動きのとれない私を拾ってもらい、共に何度練習場に足を運んだことだろう。

 君は共に5年前の日比ビジネスクラブの創立に汗を流し、私は会長として君は裏方として会を支え、労作「混淆へのパラダイム」の出版は君の編集者としての知識がなくては実現できなかった。
それだけではない。君は私の花嫁選びまで介入してきて、結局、今の妻は君が選んでくれたようなものだ。

 今日、ゴルフコースを回って事務所に出勤し仕事をしていると、その妻が生後3ヵ月半になる長男を抱いて初めて事務所にやってきた。君のアドバイスがなければ私はボタンの掛け違えに気づかずに他の女性と一緒になり、彼女のような素晴らしい女性をめとることはできなかったかも知れない。

 私にとってとても大事なもの、それは日比ビジネスクラブであり、わが妻子であり、そしてゴルフだ。そのすべてに深く関与して私の力になってくれた君がこの世に存在しないのは口惜しい限りだ。本当にくやしい限りだ。