僕はもう5年以上床屋に行ったことがない。

 マカティで美容室2店の立ち上げに関わっておきながら恐れ多いことだが事実である。

 だからといってそれほどの長髪ではなく、髪が耳に被ることはない。

 自分で鏡を見ながら横髪切る。
 うつむいて、後ろ髪や、トップ、そして前髪を切る。
 あとは、妻に後ろのすそをちょっと切ってもらったらおしまい。

 昔から図画工作は得意な方だったが、髪を切るのも結構面白い。

 一方、床屋で床屋の親父の世間話につきあったり、あるいは黙って30分も座りっぱなしで人に髪をいじられるのは閉口する。

 なので、髪が伸びてきてもなかなか床屋にいかない。

 いよいよ見苦しくなって、しかたなく床屋に行く。

 予約制の店に行くのはもっと億劫だ。

 予約の時間に間に合わせるためにやりかけの仕事を中断するのは僕には耐えがたいことだ。

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 そこでついに自分で髪を切ることを覚えた。

 出勤前とかシャワーを浴びる前とか、ちょっとした時間を利用して毎週のように自分で髪を切る。

 ところが、この間、大酒を喰らって帰宅し、購入したてのバリカンを使って、酒の勢いのままガンガン髪を削って朝、目が覚めたら悲劇になっていた。

 それから1ヶ月くらいは穴があいているような横髪、絶壁から落ちたような後ろ髪(見えなくてもを触っただけですごいとわかる状態)を隠すように、といっても到底隠しきれるものではないが、そんなトホホの状態で出勤するしかなかった。

 教訓。大酒をくらったあとは絶対バリカンに触るな。