2001年06月

51 他人の頭で論理を辿ること

2001年6月20日(日)
          
 皆さんは読書の意義についてどのようにお考えですか。もちろん、知識の獲得こそ、第一の目的でしょう。けれども、私は、あるとき、本を読むこととは即ち: 「他人の頭で、物事を考えること」であると気づきました。ある著者の文章を辿ることとは即ち、その著者の脳が組み立てる論理の筋道を辿ることに他なりません。読書量が多くなれば、それだけ、たくさんの他人の頭で物事を考える訓練をすることになります。
 同じく、他人の演説を聴くこと。映画や音楽を鑑賞すること。これらすべて他人の頭の論理を辿る訓練です。スポーツは自分の肉体の声に耳を傾けることであり、四季のうつろいを感じること、自然を愛でること、これもまた、自然の論理、つまり摂理を追う働きです。結局、五感を働かせて、何かを吸収することとは、「自」でない「他」の論理や摂理に身を任せ、委ねる働きのことであったわけです。

 その意味で、例えば、機械ばかりを相手にしているとその機械と同じような頭脳構造になります。プログラマーが他人と口をきかないで、毎日プログラム言語ばかりと格闘していると、パソコンのような杓子定規な論理思考にもなりかねません。若年層による動機不明の殺人事件が、社会問題化しています。彼らの多くが部屋に閉じこもりがち、友人が少ない、TVゲームなどひとり遊びに興じがちなど、ごく限られた個体や世界における閉塞的論理と摂理のなかで生活をしている例が多いと報告されております。

 私たちは一人で生きているのでなく、他の多くの人と協働して、「社会」なるものを構成して生きております。また、人間は自然界の摂理のなかで生きております。自然界はひとつの大きな掟により、機能しておりますが、人間社会の論理は、その構成員の性格や社会によって異なり、さらに、時間とともに変遷してゆきます。私たちは、できるだけ、多くの、特に異質の人々とその意見に触れ、時間を共有し、自然に接する機会を多くもつことにより、他人を思いやることを覚え、人格の幅を広げることができるようになるのです。

50 「あなたがたには一発の銃弾の価値しかない」・・はずであったが・・・・

 アブサヤフによる誘拐事件の雲行きが怪しくなってきた。既に国軍においては救出作戦開始から兵士18名の戦死が伝えられる一方、アブサヤフ側の戦死者数は依然不明である。それは、アブサヤフが人質20名余を連れトーレス病院を脱出する際、戦死した仲間を搬送する余裕もあったからである。6月6日のラモス元大統領のABS-CBNテレビ談話によると、国軍苦戦の理由は、アブサヤフの装備の方が国軍のそれよりはるかに優っているからに他ならない。アロヨ大統領は事件発生当初、国軍とアブサヤフの装備について、まさかこれほどの差があるとは思いもよらなかったのである。

 エストラダ政権下で、アブサヤフは外国人多数を含む幾多の誘拐事件を繰り返し、そのたびに相当額の身代金をせしめてきた。その際、エストラダ大統領は身代金交渉にあたった人物から多額の仲介手数料を得ていた疑惑ももたれている。もとより世界最強といわれるイスラム戦士が、その潤沢な資金で、最新鋭の武器、通信機器、高速艇などで装備し、シンパや協力者を拡大し、満を持して臨んだのが今回の誘拐事件だったのである。結果は犯人の目論見どおりであった。ラモス元大統領によると、アブサヤフ側は、エストラダ時代に「軍備の近代化」を達成したが、国軍側は軍備近代化の切り札となるべき、フォートボニファッショ基地跡地払い下げ収入が、違法居住者の立ち退き失敗などのため、十分得られず、そのため、近代化に立ち遅れてしまったとのことである。

 日本では明治維新政府に対抗する旧幕府軍勢力が鳥羽伏見、五稜郭の戦いで破れて以後、大規模な反乱は歴史から姿を消した。しかしフィリピンでは、いまだ、MILF(イスラム独立開放前線)、NPA(新人民軍)など、国家反乱分子が撲滅できたためしがなく、その意味で国家統一を成し遂げたことのない国であると云えよう。目下、国軍の近代化はフィリピンの焦眉の急である。外敵との戦争ならいざ知らず、内戦における国人同士の戦闘で、装備の陳腐ゆえ、士官学校卒の有能で若い命が次々と失われてゆくのは、痛ましく、そして情けない。そして、劣勢にある政府は、誘拐犯の呼びかける「交渉」に応じなければならない屈辱・苦境の立場にたたされている。今度ばかりは、合同演習目的で来比している米軍から、最新装備を借用して戦ってみてはどうかと云いたくなる。

49 Isang Bala na Lang Kayo (あなたがたには一発の銃弾の価値しかない)

 アブサヤフが米国人3人を含む20人の人質をパラワンのビーチリゾートから拉致したのは5月27日のことである。マカパガル=アロヨ大統領は声明でアブサヤフとの「身代金交渉には一切応じない。人質全員を直ちに開放しなければ、せん滅するのみである。あなた方には一発の銃弾の価値しかない。」と云って、アブサヤフメンバー一人ひとりの首に賞金を掛けて、国軍兵士3千人を投入し、徹底交戦を指示した。人質になったフィリピン人には、ガンソン夫妻という大金持ちが含まれている。アブサヤフは、ラジオを通じて、そのガンソン夫人の口から、フィリピン国軍による攻撃を中止し、彼らとの交渉に応じるよう政府に呼びかけさせた。これに対し、アロヨ大統領は攻撃を中止することはできない。身代金交渉には応じない。誘拐犯は人質は即時開放し、投降せよ」と要求を突っぱねている。大統領のこの断固たる態度に対して、国際世論は適切なる措置であると評価している。

 この人質事件の舞台になったドス=パルマスリゾートは日本人にも人気のある高級マリンリゾートで、今回たまたま日本人宿泊客が含まれていなかったのはフィリピン政府にとって極めて幸運であった。米国はテロリストや誘拐団とは交渉しないのが基本的態度である。一方、日本政府は、あくまで生命優先主義ゆえ、日本人人質がいれば困ったことだろう。国軍の攻撃に追われたアブサヤフの一団は6月2日未明、バシラン島の聖ペテロ教会とトーレス記念病院に立てこもった。そこで新たに200名近い人質をとったため、国軍は強力な火器の使用ができず、国軍はこの不利な戦闘で、アブサヤフのリーダー格の一人、ガダフィ=ジャンジャラーニを討ち取ったものの、国軍側の兵士は10名が死亡、50名以上が重軽傷を負った。銃撃戦の隙をついて、7名の人質が救出されたのは朗報であった。しかし、3日には、国軍部隊が張り巡らした非常線を突破して、アブサヤフは50名近い人質を楯に病院を脱出し、残り9名の人質と病院内で新たにとった人質2名を連れて、夜陰に紛れて逃走してしまった。マスメディアは報道管制を敷かれているため、詳細は公表できないとしながらも、この手痛い失策にも拘わらず、1週間以内にこの事件は解決するだろうと推測している。

 さて、ミンダナオで、イスラム系武装ゲリラと共産ゲリラの反政府活動が激化しているのに対し、日本国外務省は、この状況が改善しない限り、新規援助プロジェクトは一切凍結するとの声明を発表し、また、同地域を危険度2に指定し、日本人旅行者に現地へ近づかないよう勧告を出している。この二つの声明は窮地のフィリピン政府の神経を逆撫でしたことだろう。一方、米国政府は、3名の市民が人質にとられているにも拘わらず、アロヨ政権のとった措置を歓迎し、合同演習の名目でフィリピンに船艦や海兵隊を派遣して、誘拐犯に精神的圧力を加え、人質事件解決のために完全支援体制を敷いている。さて、日本と米国、どちらが普通の国で、どちらが外交上手の国といえるだろうか。

その後、アブサヤフのリーダー格、ガダフィ=ジャンジャラーニ死亡説は誤報とわかった。

48 上院議員選挙開票の途中経過


 怒涛の選挙から2週間が経過し、上院選開票率97.1%における現在の順位は、当選13議席のうち、与党8、野党4、無所属1にて、13位のレクト候補と14位のエンリレとの差が「69万3千票」、サンチャゴとの差「71万5千票」となりました。残された未開票地区はラナオデルスール、マギンダナオ、東部サマールの3選挙区、合計「80万票」が未開票で、エンリレやサンチャゴには13位入選の可能性が残されています。選挙管理委員会による上院議員当選者の正式発表は今週末または週明けになるとのことです。

中央選挙管理委員会 上院議員選挙非公式発表
中間開票結果 5月31日4PM現在
開票率97.1% 改選12議席 補選1議席 順位 候補者名 得票数 所属政党
1 ノリ=デカストロ 15965954 無所属
2 ジュアン=フラビエール 11498576 与党連合
3 セルジオ=オスメニャ 11387353 与党連合
4 フランクリンードリロン 11048036 与党連合
5 ラモン=マグサイサイ 11011019 与党連合
6 ジョーカー=アロヨ 10965889 与党連合
7 マニュエル=ビリャール. 10892840 与党連合
8 フランシス=パンヒリナン 10706305 与党連合
9 エドガルド=アンガラ 10649091 野党
10 パンフィロ=ラクソン 10481192 野党
11 エヘルシト=エストラダ. 10341307 野党
12 グレゴリオ=ホナサン. 10243250 野党
13 ラルフ=レクト 10194393 与党連合
14 ファンポンセ=エンリレ 9501120 野党
15 ディフェンサー=サンチャゴ 9478789 野党
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