2002年05月

70 ジャーマンシェパードを飼うこと

 2日前、友人宅にシェパードが生まれ、メスを一匹貰い受けることになりました。実は犬を飼うのははじめてです。その友人宅には小型犬から大型犬まで飼われていて、毎月のように子が産まれています。多くの犬種のなかで私がなぜシェパードを選んだかというと、この間、TVで映画を見て次のことを知ったからです。第二次大戦中、ドイツ、米軍、英国、どの部隊でも軍用犬としてシェパードを重用したこと。そのうちのほとんどが撃たれるなどして命を落としたこと。生き残って除隊した犬は愛犬家宅で英雄として死ぬまで大事に育てられたこと、などです。感動しました。最後は涙なしでは見れない内容でした。
 こんな立派な犬と共にありたいと、私は思ったわけです。子犬は一ヶ月くらいで乳離れをし、頂けるとのことで、本当に楽しみにしています。

--------------------------------------------------------------------------------
(子犬は私のてもとに来る前に死んでしまいました。残念です。次の子犬が生まれるのを期待しています。)

69 農業振興こそ比国経済建て直しの原点

 
 昔、川崎のぼるの『長男の時代』という漫画があった。少年漫画のタイトルとしては大仰で、しかも、「長男とは、家族という重き荷を背負って山に登るようなものだ」という硬派のストーリーを展開していたと記憶している。フィリピンは子沢山の国にて、なかでも長男長女とはファミリーの次なる旗頭として強い責任感をもって生きている。長男は義務教育もそこそこに早くから働きに出て、弟妹の学費と生活費を稼ぐ立場にある。日本では少子化や核家族化で既に本来の意義の失われた「長男の時代」がここフィリピンにはある。

 兄弟で長けたものから海外に出稼ぎにいく。彼らの家族への送金は国家予算の半分にも達する。家族に対する責任感たるや現代日本のぬるま湯につかる若者の比ではない。しかるに、何ゆえ、フィリピンはアジアの雄たりえなかったのか。一体、この国の人々に何が欠けていたのだろう。

 その答えのひとつが、いわゆるノブレス・オブリジェ(高貴なる者の義務)の欠如である。この国の金持ち、または名門の家柄に生まれた者で、目先の金儲けや独善的利益に惑わず、建国や富国のために邁進したという例を聞いたことがあるか。大資本の投入を要する重要な投資、例えば農業では灌漑事業が十分に行なわれてきたか。先進国の手厚い援助を受け整備された電力・通信において、彼らは独占・寡占的支配の美酒に溺れ、高い対価のままで一般のサービスに供してはこなかったか。国家反逆罪の咎で処刑されたホセ・リサールの犠牲的精神はどこへ行ったのか。愛国心はこの国のエリートらの心を揺さぶることはなかったのか。

 この国の立法機関たる上下院の代表とは、実はその大半がフィリピンの有産階級の代表であり、一族の権益の代弁者であって、一般の国民の利益の代弁者ではない。彼らは政治に強い影響力を持つカトリック教会との対立を恐れ、産児制限や家族計画を実施してこなかった。結果、途上国でも高い2.3%という人口増加率が続き、一人当たりのGDPの伸びは抑制され、デモクラシー形成に必須とされる中産階級の育成が阻害されてきた。電気代はアジアでは日本に次いで2番目の高さ。食品価格について比較すべき数字はないが相当高いのではないか。その主原因は何といっても農業の不振である。農業とは多大な投資が必要な一方、先進国の技術がそのまま移転できず、天候不順や法改正の影響を受けやすく、不確実性はなはだしいゆえ、誰にも手が出せる分野ではない。よって、貴族的精神、国家の後押しが必要なのである。農業への投資を怠った結果、全般的な物価高を招いている。最低賃金が思うように下げられない中で生み出された農工業製品に国際競争力はなく、外資を招こうにも魅力に乏しい投資環境である。

 オイスカという団体がある。過去30年余にわたり、24カ国の発展途上国において農業や林業の分野で技術協力を展開している日本の団体である。フィリピンでは現在11のプロジェクトにおいて、農業振興と人づくり支援をしている。水稲、養蚕、養豚蚕、植林事業を行ない増産、マーケティング支援と技術者の指導・育成を行っている。その実績は、国連経済社会理事会において、協議資格を有するほどのものといえば、自明であろう。この国の100年の大計にたって事業をなすものは英雄である。その意味でオイスカとは海外の団体ながら、フィリピン国家建設の英雄として讃えられるべきであろう。
 
 いまだに長男の時代を生きるフィリピン人。その責任感が報われるためには、国籍に拘らずノブレス・オブリジェを意識する者たちが、持てる手段を尽くして、この国の政府と有産階級、日本企業や政府を衝き動かして農業への投資を促進せしめることである。

             (本文は日比ビジネスクラブ5月度会報の巻頭文として掲載したものです)
livedoor プロフィール
タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ