一方的「源泉徴収義務者」の立場を疑問に思う。

 事業者は、すべからく源泉徴収義務者として、税務署に代わって、給与や報酬から所得税などを源泉しなくてはなりません。それって、結構重い義務だと思います。なぜなら、事業主の金庫にお金がなくても、例えば空き巣に売上を全部持っていかたとしても、どこかでお金を工面し、支払わなくてはなりません。そうでないと処罰を課せられます。

 事業主は「源泉徴収義務者」として、毎月決められた日にせっせと源泉(代理徴収)したお金を、(代理)納税するのですが、ここで私が疑問なのは、この結構重い代理徴収納税義務をどれだけ果たしたとしても、税務署からの報酬は一切ないこと。それどころか計算ミスなど犯すと、場合によっては追徴課税まで食らうことです。自分の所得にかかる納税ならいざ知らず、他人の徴税義務まで課せられて、しかも連帯責任を負い、それに対する見返りは何もないのです。

 私たち事業主は、税務署や国から一切報酬がないのにもかかわらず、なぜ皆せっせと他人の所得税を源泉徴収し、自社の人件費と交通費を掛けて、税務署に支払いに行かなければいけないのでしょうか。

 フィリピンでは日本以上に大変です。フィリピンの労働法では、2週間毎、あるいは毎月2回給与支払いをしなくてはいけないことになっているので、毎月2回、月に2日、当社の経理2名は給与計算に追われ、源泉徴収を義務付けられているのです。

 私の本業である不動産業では、事務所、あるいは住居(例えばコンドミニアム・ユニット)の賃貸借契約では、貸主は賃借人から賃料に加えて、付加価値税(12%)を源泉します。一方、借主は賃料の5%を貸主の賃料収入に対する源泉税(WHT)として源泉して、税務署にそれぞれ納めることになっています。

 合わせて賃料の17%を税務署は賃貸人、賃借人それぞれに代理徴収させておきながら、それに対する報酬は一切あげないというのに、せっせと代理納税するのは、皆が不満を訴えて、本来の税務署の仕事にしてしまうと、税率が上がるからでしょうか。

 それにしても、税務署はきちんと代理徴税をし、代理納税している立派な、事業者の皆さんに対しては、きちんと御礼の気持ちを表すべきだと思います。

 まあ、しがない小事業主の小言として聞いてください。
 

何年ぶりかで日比ビジネスクラブ講演会を開催した。

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  マニラ新聞元編集長、元共同通信記者、ジャーナリストの石山永一郎氏による

   「ルフィーの闇、フィリピンの輝き」

という、日本で話題になった日比両国を股にかけた特殊詐欺及び暴行殺人事件について、貴重なご講演をいただいた。  

 確かに失われた30年の間にガラバゴス的発展を遂げる特殊詐欺の手口のありようと、一方で、年率7%を超える速度で高度成長中するアジアの昇り竜、フィリピンの経済社会との対比は、パンデミック前は、年に十回以上日比を行き来していてその様子を観察していた自分には、感じ入るところがあった。

  とはいいながら、実は、問題はそこにはなかったのである。  

 講演中は、モニターへのAIRなんたらでの映し出していたレジメは、接続の不良でプツプツと途切れて、幾度となく接続のやり直しを余儀なくされていたし、導入したばかりの音響機器の調整不足もたたって、何年かぶりの講演会は、ちょっと散々で、講師にもご迷惑をおかけした。

 何せ、主催者の私がとても集中して聴ける状態になく、講演後に参加の皆さんからの率直な感想をお聞こうと思っていたのが、そのアンケートの実施もネットの接続不良で潰えたのだった。

 極めつけは、受付の妻(フィリピン人)が自己の登録するSNSを、講演直前に何者かにより乗っ取られたこと、講演が終わる頃には、義理の兄弟や私たちの従業員が、妻からのなりすましメッセージにコロッと騙されちゃったこと、そして、それぞれ数万ペソという(質素な私たちには)大金の振込み詐欺被害に遭ってしまうとという(自分には)前代未聞の事件が、講演会の裏で勃発していた、のである。

  講演が終わると同時に、携帯電話を握りしめた彼女が脱兎のごとく歩み寄り、私のI-Padを掴んでの「アカウント取り戻し作業」。そして私もただただその支援に振り回されて、せっかく集まった参加者とその後の懇親会で歓談する時間もなく、結果、お帰りの際に一言挨拶を交わすのがやっとという哀れな有様になってしまったのである。

  しかし、待てよ、ものは考えようだ。

  そうだ、それって、すごいことではないか。

  なにしろ「振り込め詐欺」についての講演会中に起きた「振り込め詐欺事件」なのである。

  実に「大胆不敵な犯行」と言えなくはなかったか。

  そうだ、懇親会の最中に、立ち上がって、「振り込め詐欺」の二重奏を語るべきであったのではないか。

  というのは冗談で、まあ、なんだろう。実に「間抜け」な出来事だった。冷静になって昨日のことを振り返ると、私の一生で、偶然とはいえ、こんな間抜けな二重奏は、これまでになかったような気がする。

  そうだ、この日は、我が人生で、この久々のブログにも特筆すべき、散々な一日であったのだ。

  と久々のブログに書く、私であった。
 
 

341 事業「無」計画書

「無犯罪歴証明書」という言葉があるなら「事業無計画書」という言葉があってもいい。

                     ++++++++++++

会社設立や不動産のあっせんなんて仕事をしているといろいろな問い合わせが入ってくる。

疲れるのは、会ったこともない私に筆談でわけのわからない夢を語り、くだらない質問をたらたらしてくる輩だ。

名前も素性もほとんど明かさずにどんどん聞いてくる。こっちはネットに卒業した小学校から一切を公開しているから「匿名者と公人の対話」である。

チョー初心者的質問と荒唐無稽な「計画」というか、「無計画」について聞いてくる。それでも我慢して丁寧に返事をしていると、調子に乗ってまたいろいろ聞いてくる。終いには面倒くさくなって、

「あなたも事業家のはしくれなら、もう少し計画を煮詰めてから持ってきてください。我々の仕事はそれからです。」

 と書いて送ると、

「煮詰まったら役所にもっていく。煮詰まっていないから聞いているのだ。・・・もう頼まないからいいです」

と逆切れをする。匿名だからいくら相手を攻撃しても平気なのだ。しまった。また匿名者に真摯な態度で接してしまったと親切な自分に反省しつつも、本当のところ、

「あのー、答えるのが面倒くさくなるほどの無計画ですね。フィリピンでの事業はいばらの道。そんな甘いものではないですよ。日本と違って安い資本で始められるからと安易にスタートしても火傷するだけですよ。地雷踏んじゃいますよ」

と進出の断念(という大げさな言葉を使うほど考え抜いているとは思えないが)を示唆しているのだ。

誰でもそうなると思うが10年も進出支援の仕事をしていると少し対話をしただけで、相手の力量は値踏みできるようになる。レベルの高い事業家のハナシに「とんでもない達人がいたもんだ」と舌を巻くこともあれば、極めて実現性の低い計画「事業無計画」に失望させられることも度々ある。

でも相手から批判を受けたら切れるのもいいけれど、少しは気にした方がいいですよ。だいたいコケルまで誰も言ってくれないんだから。

「すみません。お兄さん。ちょっと事業無計画書、見せてくれますか」


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