昨晩、ふとハンバーグが作りたくなった。先月、ファンミロ洋風レストランで食べた加村料理長(注:日比ビジネスクラブ講師)のあの芸術的ハンバーグのジューシーな味が突然、蘇ってきて、口の中がつばきで一杯になったからである。自宅で時折、義理の妹らが文字通り「お義理」で作る硬くてボロボロのハンバーグとは、まさに隔絶の差のある、あのふっくらとしたハンバーグを食べたくなったのである。

 かといって、これまで作った経験はなく、教えてくれる人がいるわけでもない。でも大丈夫。インターネットでハンバーグのレシピを検索する。こんなときこの文明の利器は実に頼りがいがある。ちょっと調べてすぐに、愕然とする。なんと、美味しいハンバーグの材料として、最も人気があるのは、牛肉7に対し、豚肉3の合挽き肉なのである。げえー、知らなかった。これまでハンバーグとは牛100%とばかり思っていた。けれども、冷蔵庫には牛肉しかない。仕方なしに、再検索してみると、とりあえず牛100%のレシピも見つかった。なるほど、牛100%も決して邪道ではないのだ。

 その他の材料を点検してみた。ナツメグにブルドック中濃ソース。パン粉も牛乳も不思議と揃っている。目指すはあくまで「ふっくらとしてジューシーなハンバーグ」である。

 工程表(?)に従って、みじん切りにした玉ねぎを炒め、冷やしたひき肉に塩、胡椒をし、牛乳を搾ったパン粉をぶち込んで、手のひらで練る。70回~100回という標準練り数を数えながら途中、手のひらを氷を冷やしながらの念の入れようである。最後に冷ました玉ねぎを混ぜ合わせて、こねた材料を4つに分け、これを整形して中央に窪みを作り、水が玉になるほどに熱したフライパンに落とし込む。焦げ目のついたハンバーグにワインを振って、数回返し、スプーンで押して、肉汁が透明になれば、出来上がりだ。し染み出た肉汁にケチャップ、中濃ソース、マヨネーズを入れて合わせソースを作って、ハンバーグの上にとろーりとかける。

 そして、試食。「おおー何という美味!」。時計を見ると夜1時。メイドはとっくに就寝だ。決してフツーの時間ではない。寝室でそろそろ横になろうかという女房の手を引っ張って、「うまいもんができたから食ってみろ」、と無理やり味見をさせる。一口食べて「うわー美味しい!」と女房。「だから言ったろう。料理っちゅーもんはテレビ見ながら作るもんじゃない。今日だって、手のひらを氷で冷やしながら作ったんだゾ」と自分。すっかり眠気もさめた女房がパクパク食って、ソースの最後の一滴まですくって「もうないの」と不満をもらすのを聞いて、私は心でバンザイ、「やったじゃん」。これですっかりシェフ気分。

 でも、ホントは料理なんかしている場合ではないのである。空室情報11月号を仕上げねばならない。が、昨夜は日本酒をあおり、脂だらけの顔でそのまま寝てしまい、朝起きたら起きたで、これ書いて・・・・。

 「えっ、まだできていないの」と絶句するわが女房。