NHKをみていると10年前、東京新宿区のJR新大久保駅でホームから転落した男性を助けようとして死亡した日本人カメラマンと韓国人修就学生の美談が改めて紹介されていた。
20年以上も前、電車のない沖縄からのこのこ東京に出てきた琉球人の私は、列車のホームの端にはできるだけ近づかないようにしていた。それこそ誰かに突き飛ばされたとしても大丈夫な位置にいるように心掛けていた。もちろん、順番待ちで並んでいるときにも必ず二番目以降に立つようにしていた。しかし、今から思えば友人と一緒のときなど気が緩んでいるときもあり、その方針が徹底していたとはいえない。浪人から大学卒業まで、また就職中の4年間、ほぼ毎日列車を使用していたが事故にあわずに済んだのは運が良かっただけといえなくもない。
急行列車が高速で通過するとき、ホームの強風にあおられ恐怖を感じるのは私だけではあるまい。極端な話だが、通勤・通学に電車を利用する人物を殺したいなら、ホームから突き落とすのが手っ取り早いと断言できる。
例えば、香港の地下鉄では全てのホームに転落防止柵が設けられている。私にすれば、当たり前のことである。しかし、日本では、
1)金が掛かる
2)開閉装置の故障でダイヤが乱れる
3)車両によりドア配置が異なるため実用的でない
という概ね3つの理由により、ほとんどの路線で導入が見送られている。
ひとの命よりまず「効率優先」という日本人の性格が透けて見えてくる。
命を大切にしない国は、中国や北朝鮮と同様、二流国だ。
1)の金が掛かるのは詮なきことだが、2)開閉装置の故障でダイヤが乱れるという課題は、頭脳明晰な日本人のこと、開かないときは列車サイドから手動操作で開閉できるようにするなどで解決。3)車両毎にドア配置が異なるという点も、車両のドア位置を統一する多額の設備投資をする前に、防止柵の何箇所にもドアを設けることにより対策は十分可能。技術立国の日本では、意思さえあればできないことなど何もない。
決して田舎も含め全てのホームに転落防止柵をつけろと極論を言っているのではない。世界一乗降客の多い新宿駅を筆頭に全国主要駅に限定してそれをつけろと言っているのである。
さて財源をどこに求めるかという点だが、
例えば、新任の財務大臣が嬉しさの余り、一度やってみたかった程度の安易な気持ちで為替安定策と称して介入に注ぎ込む巨額の外貨があるのなら、実質的価値のある米国政府所有の不動産を安く買い叩いた方がはるかに有意義であるのと同様、
内需拡大のための予算があるなら、「日本国の質を向上すること」に寄与するこのような投資のために優先的に使用すべきだ。
要は国会で「主要駅ホームに転落防止柵設置を義務付ける法律」をつくって、政府がその実施のための資金を鉄道事業各社に低利で融資すれば良いだけのことだ。
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