猫を見かけると僕は、
「ゴロニャー」
筋道をクルマ運転中でもわざわざブレーキ踏んで、
「ゴロニャー」
すると猫がじっとこちらを見つめる。
重ねて僕は、
「ゴロニャー」
「ニャンだ、こいつ、もしかして人間のくせに猫語がわかるのかコンニャロー」
「いや、待て待て。・・・ニャーんだ。ただ音が似ているだけ」
「つまるところ、こいつは猫語に似た音を出すけれど、意味のない音の繰り返し。」
「そうそう。ニャンにもわかっちゃいない」
「ちぇっ、立ち止まって時間を無駄にしちまった」
「んだ。んだ。行こうぜ。角のおばさんちの猫飯の時間に遅れちまう」
「おうや。しかし、ニャンだなあ、最近は暇な人間が多くなったと思わないか」
「うん。あんニャ奴らにつきあっていると猫生(ねこしょう=猫の一生)棒に振るぞ」
猫同士の会話もまた浅薄なものでした。
今日も白々と夜が更けていくのであった。