2年前のある日、突然、「死ぬまで毎日ランニング」という突拍子もない計画を思いついた。当時は毎月のように東京とマニラ間を往復していたが、思いつきを実行するため、東京用に1足、マニラ用に2足、真新しい運動靴を3足揃えた。東京では新宿御苑1周コース、マニラではマニラ湾に面するフィリピン文化センターを走った。毎日約3km。雨の日も風の日も休むことなく走った。1年間、さぼったのは5日間だけとはまあ立派なものだったが、結局その約1年間で挫折した。
挫折の理由は、車に纏わる諸問題に嫌気がさしたためである。マニラでは、自宅周辺には、安全で、排気ガスを苦にせず、ランニングができるところはなかった。近所で走れば、車にはねられるか、排気ガスで肺をやられて文字通り死ぬまで毎日ランニングとなり、葬式であいつはやっぱり馬鹿だったと友人に笑われるのは見えていた。そこで、面倒ではあったが、車で20分離れたフィリピン文化センター(PCC)へ通っていた。週に1日、渋滞緩和策である自動車の使用禁止規制日(私の車は火曜日禁止)には朝7時以降、夜7時まで車の使用が出来ないため、禁止日に朝寝坊するとランニング時間が十分にとれなかった。また車の故障やパンクなどにより出発ができなかったり、目的地に辿り着かなかったりで嫌気がさした。結局、未だランニングを続ける環境にあらずと諦めたのである。
今度は安全な住宅地に越してきたので、自宅前を起点に広い住宅地内を、存分にランニングできるという最適の環境が整った。
5時に起床し、2年前に購入した運動靴のうち黒い方の靴紐をぎゅっと結びなおして、いざ初日の今日は、とりあえず約30分、景色を楽しみながら軽く走った。私のランニングは、「スピードランニングに最後100メートルをエイトマンのようにダッシュ」というコザ高校卓球部時代に確立したストロングスタイルであるが、しばらくは慣らしでのんびり走ろうと考えている。以前ほどの気合もなく、気負いもないのは継続するうえでかなり不安ではある。ところで「エイトマン」は最近マニラのケーブルテレビで英語吹き替え版が放送されていて、いたく感激したが、それはランニング再開の直接の動機ではない。
一度は挫折した「死ぬまで毎日ランニング」。今度はいつまで続けられるだろうか。
お答えします。今回は半年で挫折しました。