2002年11月

77 70ドルの振込みに思うこと

 今日、経理に命じて70米ドルを振り込んだ。振込先は「dot.ph」。

 インターネットで国を表すドメイン記号は米国がcom、日本がjp、そしてフィリピンがph。今日、私がdot.phに、ドメイン継続使用料70ドルを納付できたのは、あさひ不動産なる企業が存続し、その広告塔たるasahi.phが、西暦2000年からの2年間を辛くも完走したことの証である。

 2年前、わが社と同様、ドメイン獲得のための最初の70ドルを支払い、意気揚々と船出をしながら、厳しい経済の荒波に揉まれて難破し、表舞台から姿を消していった多くの会社の、いまや空家になったドメインがdot.ph管理局のリストに浮遊する。私の前後に並ぶどのドメインをクリックしてみても、ホームページは現れず、その先にはthis domain is avilable(このドメイン名は使用可能です)という表示しか出てこない。統計を見るまでもなく、生き残りphドメインが10のうち1つに満たないことは明らか。

 その意味で、当ホームページのカウンターがこのほど50000をヒットし、今もちょこまか更新できていることは極めて幸運なことであり、わが社をごひいき賜ったフィリピン内外の顧客の皆様に感謝するばかりなのである。中小零細企業にとってつなぎ資金など、借り入れをまず起こせないフィリピンで、起業した企業に窮状を支えるものは存在しない。ここではテロによる爆弾騒ぎなどちょっとした経済の落ち込みで、破綻企業が相次ぐのはそのためである。その点、例えば狂牛病騒ぎで不振の畜産農家や食肉加工会社を国家が堂々と支える日本が羨ましく思える。デフレ経済の長期化など、皆、困った困ったと大騒ぎをしているが、此岸から見える日本丸はまだまだぬるま湯に浸かるマンボウなのである。

 しかるに此処は自分で選んだ坂道である。歯を食いしばって登るより仕方あるまい。ホントは「黙って」登ると言いたいところ、黙っていられないのが北国育ちにかなわない南国育ちの弱さなり。そこで一句。

 「男はどなってサンミゲルビール」。 

     解説: 「どなって」を「ぐちって」と言い換えると、さらに下卑てて◎。

76 ふっくらでジューシーなハンバーグを

 昨晩、ふとハンバーグが作りたくなった。先月、ファンミロ洋風レストランで食べた加村料理長(注:日比ビジネスクラブ講師)のあの芸術的ハンバーグのジューシーな味が突然、蘇ってきて、口の中がつばきで一杯になったからである。自宅で時折、義理の妹らが文字通り「お義理」で作る硬くてボロボロのハンバーグとは、まさに隔絶の差のある、あのふっくらとしたハンバーグを食べたくなったのである。

 かといって、これまで作った経験はなく、教えてくれる人がいるわけでもない。でも大丈夫。インターネットでハンバーグのレシピを検索する。こんなときこの文明の利器は実に頼りがいがある。ちょっと調べてすぐに、愕然とする。なんと、美味しいハンバーグの材料として、最も人気があるのは、牛肉7に対し、豚肉3の合挽き肉なのである。げえー、知らなかった。これまでハンバーグとは牛100%とばかり思っていた。けれども、冷蔵庫には牛肉しかない。仕方なしに、再検索してみると、とりあえず牛100%のレシピも見つかった。なるほど、牛100%も決して邪道ではないのだ。

 その他の材料を点検してみた。ナツメグにブルドック中濃ソース。パン粉も牛乳も不思議と揃っている。目指すはあくまで「ふっくらとしてジューシーなハンバーグ」である。

 工程表(?)に従って、みじん切りにした玉ねぎを炒め、冷やしたひき肉に塩、胡椒をし、牛乳を搾ったパン粉をぶち込んで、手のひらで練る。70回~100回という標準練り数を数えながら途中、手のひらを氷を冷やしながらの念の入れようである。最後に冷ました玉ねぎを混ぜ合わせて、こねた材料を4つに分け、これを整形して中央に窪みを作り、水が玉になるほどに熱したフライパンに落とし込む。焦げ目のついたハンバーグにワインを振って、数回返し、スプーンで押して、肉汁が透明になれば、出来上がりだ。し染み出た肉汁にケチャップ、中濃ソース、マヨネーズを入れて合わせソースを作って、ハンバーグの上にとろーりとかける。

 そして、試食。「おおー何という美味!」。時計を見ると夜1時。メイドはとっくに就寝だ。決してフツーの時間ではない。寝室でそろそろ横になろうかという女房の手を引っ張って、「うまいもんができたから食ってみろ」、と無理やり味見をさせる。一口食べて「うわー美味しい!」と女房。「だから言ったろう。料理っちゅーもんはテレビ見ながら作るもんじゃない。今日だって、手のひらを氷で冷やしながら作ったんだゾ」と自分。すっかり眠気もさめた女房がパクパク食って、ソースの最後の一滴まですくって「もうないの」と不満をもらすのを聞いて、私は心でバンザイ、「やったじゃん」。これですっかりシェフ気分。

 でも、ホントは料理なんかしている場合ではないのである。空室情報11月号を仕上げねばならない。が、昨夜は日本酒をあおり、脂だらけの顔でそのまま寝てしまい、朝起きたら起きたで、これ書いて・・・・。

 「えっ、まだできていないの」と絶句するわが女房。
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