かつてマニラ市トンド地区にスモーキーマウンテンと呼ばれるゴミの山があった。堆積した生ゴミからアンモニアが発生し、これが自然発火してあちこちから白煙が上がっていた。その上に掘っ立て小屋を建てて住みつき、ゴミ拾いで生計を建てている家族の姿があった。
そのスモーキーマウンテンが10年ほど前に閉鎖され、「ケソン市パヤタス」がゴミ最終処分場として次の名所となった。ゴミ拾いに勤しむ幼な子らの姿は痛ましく、情にほだされた日本の民間団体や公的機関はかつてのスモーキーマウンテン同様、せっせと衣類、給食、奨学金を運び、校舎、職業訓練施設、診療所などさまざまな支援の手を差し伸べた。
しかし、冷たいようだが私は不法居住者への支援に大反対である。
実は一般のフィリピン人もそんな支援を快くは思っていない。まず、彼らのゴミ山の上に住もうという考え方、これはいいだろう。公共地への不法居住に問題はあるが、政府が黙認しているのなら我々の関知するところではない。誰にも居住の自由はある。しかし親たちにはそんな不衛生な場所に子どもを住まわせる権利はない。それは親権の乱用であり、子どもの人権を蹂躙する行為である。それは政府が許しても人道的に許されることではない。田舎の貧困から逃げ出してきた者たちは不法居住者としていつまでも公共地を占拠すべきではなく、すぐにも自分たちの地方に戻るべきであると考える。
支援をする者がいるから彼らはそこに「快適に」住み続けることができる。従って、支援が彼らの不法居住の固定化をもたらしている。それは違法状態の維持拡大に手を貸していることであり、フィリピンの国益にも反することである。
貧困者は大きく、都市貧困者、漁村貧困者、農山村貧困者に分けられるであろう。そのなかで最も豊かなのは都市貧困者であり、最も貧しいのは農山村貧困者である。けれども彼らの違いをいうと農山村貧困者は誇り高く、都市貧困者はみすぼらしい。
私はどうせならぜひ農山村貧困者を支援してほしいと思う。自分の生まれた土地を離れず貧しくも善良に生きている人達にこそ支援の手を差し伸べるべきなのだ。そして、地方を離れなくても良いように、反対に都市に出てきた者が帰郷したくなるように、地方の経済を活性化し、雇用を促進させることに力を貸すべきなのだ。
我ら日比ビジネスクラブでもわずか数人ながらフィリピンの子らに奨学金を支給している。田舎の生徒や学生を対象としていて、そのうち半分は農業大学の学生に学資支援をしている。人口増加の激しいフィリピンで今、最も力を入れるべきは農業である。
援助団体はえてして近場で手軽に支援ができて、ニュースにも取り上げられやすい都市貧困者の支援に偏りがちだ。けれどもそれに甘んじてはせっかくの行為が報われない。フィリピンを思うならば人口の都市集中と地方の過疎化、農村の疲弊を食い止めるために、援助は人造のゴミ山に住む者に対してではなく自然の山に住む者に対して行いたい。
そのスモーキーマウンテンが10年ほど前に閉鎖され、「ケソン市パヤタス」がゴミ最終処分場として次の名所となった。ゴミ拾いに勤しむ幼な子らの姿は痛ましく、情にほだされた日本の民間団体や公的機関はかつてのスモーキーマウンテン同様、せっせと衣類、給食、奨学金を運び、校舎、職業訓練施設、診療所などさまざまな支援の手を差し伸べた。
しかし、冷たいようだが私は不法居住者への支援に大反対である。
実は一般のフィリピン人もそんな支援を快くは思っていない。まず、彼らのゴミ山の上に住もうという考え方、これはいいだろう。公共地への不法居住に問題はあるが、政府が黙認しているのなら我々の関知するところではない。誰にも居住の自由はある。しかし親たちにはそんな不衛生な場所に子どもを住まわせる権利はない。それは親権の乱用であり、子どもの人権を蹂躙する行為である。それは政府が許しても人道的に許されることではない。田舎の貧困から逃げ出してきた者たちは不法居住者としていつまでも公共地を占拠すべきではなく、すぐにも自分たちの地方に戻るべきであると考える。
支援をする者がいるから彼らはそこに「快適に」住み続けることができる。従って、支援が彼らの不法居住の固定化をもたらしている。それは違法状態の維持拡大に手を貸していることであり、フィリピンの国益にも反することである。
貧困者は大きく、都市貧困者、漁村貧困者、農山村貧困者に分けられるであろう。そのなかで最も豊かなのは都市貧困者であり、最も貧しいのは農山村貧困者である。けれども彼らの違いをいうと農山村貧困者は誇り高く、都市貧困者はみすぼらしい。
私はどうせならぜひ農山村貧困者を支援してほしいと思う。自分の生まれた土地を離れず貧しくも善良に生きている人達にこそ支援の手を差し伸べるべきなのだ。そして、地方を離れなくても良いように、反対に都市に出てきた者が帰郷したくなるように、地方の経済を活性化し、雇用を促進させることに力を貸すべきなのだ。
我ら日比ビジネスクラブでもわずか数人ながらフィリピンの子らに奨学金を支給している。田舎の生徒や学生を対象としていて、そのうち半分は農業大学の学生に学資支援をしている。人口増加の激しいフィリピンで今、最も力を入れるべきは農業である。
援助団体はえてして近場で手軽に支援ができて、ニュースにも取り上げられやすい都市貧困者の支援に偏りがちだ。けれどもそれに甘んじてはせっかくの行為が報われない。フィリピンを思うならば人口の都市集中と地方の過疎化、農村の疲弊を食い止めるために、援助は人造のゴミ山に住む者に対してではなく自然の山に住む者に対して行いたい。